コーヒーで旅する日本/九州編|楽しみ方は人それぞれ。その人に合った自由なコーヒーを追い求めたい。「MIGLIORE COFFEE」

東京ウォーカー(全国版)

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全国的に盛り上がりを見せるコーヒーシーン。飲食店という枠を超え、さまざまなライフスタイルやカルチャーと溶け合っている。なかでも九州はトップクラスのロースターやバリスタが存在し、コーヒーカルチャーの進化が顕著だ。そんな九州で注目のショップを紹介する当連載。店主や店長たちが気になる店へと数珠つなぎで回を重ねていく。

スーパーマーケットに隣接する「MIGLIORE COFFEE」

九州編の第91回は山口県防府市にある「MIGLIORE COFFEE(ミリオーレ コーヒー)」。スーパーマーケットの駐車場の一角にあり、まさに地域の暮らしに根付いたコーヒーショップという印象。店を営むロースター兼ブリュワーの中島大樹さんはもともと公務員だった異色の経歴の持ち主だ。2023年に同じ防府市内にカフェメインの「AWESOME COFFEE BREWERS by MIGLIORE COFFEE」、山口市内に「MIGLIORE COFFEE ROASTERS 山口店」を開業し、今年秋にも新店舗オープンを控えているという。防府市を中心に人気を集めている今、中島さんが考えるコーヒーの魅力、楽しみ方、純粋に自身が感じているおもしろさについて聞いてみた。

オーナーの中島大樹さん

Profile|中島大樹(なかしま・だいじゅ)さん
福岡県福岡市生まれ。九州大学大学院卒業後、公務員として約7年間、勤務。大手コーヒーチェーンにて働いたあと、独立。2018年(平成30年)3月に「MIGLIORE COFFEE」を開業し、ロースター、ブリュワーとして腕を磨く。2023年4月に「AWESOME COFFEE BREWERS by MIGLIORE COFFEE」、同年12月に「MIGLIORE COFFEE ROASTERS 山口店」、さらに今年10月に防府市内に4店舗目を開店予定。山口コーヒーフェスティバルの実行委員長も務めている。

地域の人たちの暮らしを支える場所の一角で

ドリンクは基本どれも500円。豆が選べるセレクトコーヒーは+100円

JR防府駅から車で約10分ほどの場所。駅からタクシーに乗り、住所を伝えると「あー、まるきの横にあるコーヒー屋さんですね」と運転手さんが言うように、地元民の間では「まるき」の名で親しまれるスーパーマーケットの敷地内に「MIGLIORE COFFEE」はある。

豆売りがメインで店内には生豆の麻袋も無造作に置かれている

スーパーマーケット自体はいたって普通の店で、「MIGLIORE COFFEE」は、もし店前に掲げられたコーヒーと書かれたノボリがなければ、遠目にはスーパーに隣接したクリーニング店と思うかもしれない。オーナーの中島大樹さんは「まさに私が店を開く前、もともとここはクリーニング店でした。ちょうど焙煎所として利用できる物件を探していたとき、買い物で訪れて偶然見つけまして。建物のサイズ感も、場所もちょうどいいうえ、焙煎機を置くこともでき、すぐにここに店を開くことに決めました」と開業した当時を振り返る。

店でのハンドドリップにはネルフィルターを使用

「MIGLIORE COFFEE」が開業したのは、2018年(平成30年)3月。もともと福岡市出身で、九州大学大学院を卒業した中島さんが防府市を拠点にした理由を聞いてみた。「大学卒業後、防府で公務員として働いていたんです。日々働く中で仕事中などにコーヒーを頻繁に飲むようになり、徐々に淹れ方や豆にこだわるようになっていきました。最初はインスタントコーヒーからドリップバッグ、次はドリッパーとケトルを買ってハンドドリップを覚えて、小さなグラインダーを買って挽きたての豆で淹れたコーヒーのおいしさに感銘を受けたり。そんな感じで普通にコーヒーにハマっていきましたね。公務員として7年ほど勤め、その時期にはコーヒーが大好きになっていて、できることならコーヒーと関わりながら生きていきたいと考えるようになっていました。そんな時にちょうどコーヒーショップを全国展開している企業が社員募集をしていて、転職したのが私のコーヒー業界への入口です」

【画像】棚に飾られた小さな手煎り焙煎機が中島さんの焙煎の原点

コーヒーチェーンで働いたのは1年弱と短かったが、さまざまな知識に触れるにつれ、中島さんの興味は一気に焙煎に傾いた。「実際にコーヒー業界に身を置くようになって強く感じたのが焙煎の大切さでした。ガスコンロで焙煎できる小さな器具を購入し、自分で焼いてみると、これがただ苦いだけだったり、変な酸味が残ったり、全くおいしくない。ただそれでも焼き続けていると、ある日偶然かもしれませんが、めちゃくちゃおいしく焙煎できたんです。それを機に自分が好きな産地の生豆を仕入れて、自分なりのコーヒーを焙煎で表現したいという想いを強くしました。それからは一気に独立・開業するためのベクトルに変わりましたね」と中島さん。

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