約30年で122頭からたった3頭に減少…日本の水族館でラッコが見られなくなるかもしれない話

東京ウォーカー(全国版)

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ガラスに張り付いたイカをジャンプしてキャッチphoto by Kanji Furukawa / (C)KADOKAWA

2頭が行うパフォーマンスは実に多種多様。飼育員が投げて水槽のガラスにくっつけたイカを、ジャンプして取ったり、プールに投げ入れられるオモチャを回収してバケツに入れたり、どのパフォーマンスも思わず笑みがこぼれるほどかわいらしく、そして身体能力の高さに驚かされる。

メイと石原さんの仲睦まじいやり取りが話題photo by Kanji Furukawa / (C)KADOKAWA

主に食事の時間にトレーニングをして、さまざまな動きを身に付けていく2頭。時には新技も披露してくれるが、こういった「動き」は観客に見せるために練習しているわけではないのだという。

「私たちはラッコに芸を仕込んでいるわけではないんです。自然界にはいろいろなものがありますから、それに応じて彼らは動くわけですが、水槽には何もない。だからラッコたちの身体の状態をチェックするために、人為的にできるだけ多くの動きをさせているわけです」(石原さん)

プールに浮かぶ三角コーンを回収するメイphoto by Kanji Furukawa / (C)KADOKAWA

ラッコたちはショーのためにパフォーマンスをしているわけではなく、あくまでも健康状態を確かめるためにトレーニングをしているのだ。昨日までできたパフォーマンスが今日できなかったとしたら、飼育員はケガや病気が潜んでいるかもしれないと気付くことができる。そうして筋力や関節の可動域など、身体の状態をチェックするために、さまざまな種類の動きをトレーニングしているのだという。

石原さんが持つバケツにオモチャを入れようとするラッコたちphoto by Kanji Furukawa / (C)KADOKAWA

「健康を管理する一環としてさまざまな動きをさせている中で、いろいろことができるようになったということです。ラッコはどこか悪いところがあっても、ここが悪いよなんて言ってくれないですからね(笑)」(石原さん)

食事の時間をよく見ていると、泳ぐ・歩く・掴む・叩く・噛むなど、たしかに多様な動きをして、全身を使っていることがわかる。同時に、飼育員はラッコたちの身体の状態を確認しているのだ。

ラッコ飼育40周年イベントを開催

2023年10月にラッコ飼育40周年を迎えるにあたり、鳥羽水族館ではさまざまなイベントを実施。2023年10月3日(火)には、鳥羽水族館でのラッコ飼育の歴史を1冊にまとめた、ラッコ飼育40周年記念ブック「ラッコメモリアルBOOK with 鳥羽水のラッコたち」(2200円)を販売する。

仲良くオモチャを持ってポーズphoto by Kanji Furukawa / (C)KADOKAWA

近い将来、日本の水族館では見られなくなるかもしれないラッコ。しかしながら、ラッコへの関心が高まることで、現状は好転する可能性もあるという。メイとキラをキッカケにラッコに興味を持った人は、ぜひこの先もラッコを応援し続けてほしい。


取材・文=民田瑞歩/撮影=古川寛二

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