影山貴彦のテレビのホンネ。今どきの恋愛リアルに 「LINEの答えあわせ」

関西ウォーカー

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海外で高い評価を受けるケースはきっとこれから増えていくことだろう


「LINEの答えあわせ」


時代と共に恋愛事情も変化を遂げる。いまや「好きです!」の告白も、「別れよう!」のセリフも、SNSで済ますことが全く珍しくなくなってきた。タイプの人に出会えるかわからない合コンの飲み代に数千円払うくらいなら、「マッチングアプリ」で自分に合った人を見つけた方が、時間もお金も無駄にしないで済む、と考える人も少なくない。

だからこそ、映画やドラマで「恋愛」を扱うことが、ますます難しくなってきたとも言える。合理性を最優先する若者たちをいかにときめかせるかに作り手たちは知恵を絞る。

面白い恋愛ドラマが始まった。「LINEの答えあわせ」(読売テレビ)だ。1日料理教室で知り合った複数の男女が織りなす恋愛模様を描いていくのだが、興味深いのは、「LINE」を前面に出していることだ。互いの「LINE」を交換し、恋愛の「初めの一歩」を踏み出す描写は、まさにリアルだ。相手のアイコンや、さりげない表現ひとつで、自分に相応しい人間かどうか吟味する。イケメンながら、少しずつピントのずれた若きITベンチャー社長役を演じる、主演の古川雄輝を始め、俳優陣が皆魅力的だ。冷静を装いつつ、相手の既読スルーが続けば、この世の終わりのように心乱れる様子は、可愛くもある。今の若者たちの大変さ?に同情しつつ、少し俯瞰してツッコミながら見るのが愉しい。

実はこのドラマ、地上波の放送に留まらず、日本と中国で同時配信されてもいる。配信早々から中国でも話題になっているそうだ。全国ネットではないテレビ番組が、海外で高い評価を受けるケースは、きっとこれから増えていくことだろう。恋愛ドラマに限らず番組作りの難しい時代だが、プロデューサーを始めとする番組関係者たちがアクティブに動き、佳き成果を出していることに、これからの放送の可能性を感じた。

元毎日放送プロデューサーの影山教授


【著者プロフィール】影山貴彦(かげやまたかひこ)同志社女子大学 メディア創造学科教授。元毎日放送プロデューサー(「MBSヤングタウン」など)。早稲田大学政経学部卒、ABCラジオ番組審議会委員長、上方漫才大賞審査員、GAORA番組審議委員、日本笑い学会理事。著書に「テレビドラマでわかる平成社会風俗史」(実業之日本社)、「テレビのゆくえ」(世界思想社)など。

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