SNSで大反響のインフルエンサー森下直哉が語る成功者の哲学「自分を捨てる」

“イケオジ”として2023年、SNSで大バズりした実業家・森下直哉さんの初の著書「僕の魅力の醸し方　仕事はしっかり、好きなことも全力で」が好評発売中だ。「ラクをしない」「自分を捨てる」「行動原理は“人に喜んでもらいたい”」など、森下さんの人生の指針と半生をつづったエッセイ。そこには、経営者として成功を遂げたこと以前に、人間として支持を集める理由が詰まっていた。「たくさんの人に幸せになってほしい」――そう願う森下さんが、本書について、これからについて本音を明かしてくれた。

――自分を漫画の主人公として、人生を楽しんでいる印象を受けます。

【森下直哉】僕は本気で漫画の主人公になりたかったですから。人気漫画の主人公はみんな好きだし憧れる。僕も人に好かれたいからその主人公を研究したんです。その中で大事な要素のひとつがギャップ。僕がタトゥーを入れているのも、ギャップを作りたいからです。タトゥーがある人は、おそらく「チャラそう」「怖そう」「仕事ができなそう」といったイメージをもたれがちだと思うんだけど、それで実は一途だったり、親しみやすかったり、仕事ができたりしたら、圧倒的にプラスでしょ。

――常にコスパを考えて行動をしているというという考え方は意外でした。あざとさや損得勘定を明かすことに抵抗はなかったですか？

【森下直哉】まったくないです。もしそれで僕を苦手だと思ったら僕に近付いてこないだろうし、僕のほうもそんな人とは付き合いたくない。僕に興味がある人だけ寄ってきてくれればいいし、興味がなかったら寄ってこなければいい。手の内を出して、腹を割って、それで好かれるなら、それは本気で好きだということじゃないですか。

【森下直哉】それに、自分の手の内を明かす人って少ないと思うから、僕はどんどん出していきたい。田中みな実さんもあざとさをアピールして人気が出ましたよね。もしかしたら最初は嫌われるかもしれないけど、本音で語って支持を集めたことが、結果として出ている。それなら本当の自分を明かしたほうがいいと思います。自分を偽って、かっこいいところとかいい部分だけ並べても薄っぺらいし、みんなそれに気付きますからね。バカだと言っているほうがいい。できる男を演じたくないです。

【森下直哉】そもそも、損得勘定は出していいんですよ。結局みんな損得勘定で生きているんだから。ただ、結局それが自分のためなのか、人のためなのかという比重の話。僕も損得勘定がめちゃくちゃあるけど、自分の比重が少ない。「自分だけ好かれたい」「自分だけ儲けたい」「自分だけよければいい」という人は嫌われるけど、僕の場合は基本的に「人に喜んでほしい」が強いからそんなに嫌われないんだと考えています。

――損得勘定と人望って両立できるんですね。

【森下直哉】自分を守ることに重きを置くからうまくいかないんですよ。実際、そういう人がほとんどで。自分を大事にしても何もいいことがないんだから、どれだけ自分を捨てられるかが大事なのに。みんなできないことをやっているから、かっこいいと言われるのかもしれないです。

――「自分を捨てる」という考え方を初めて聞いた読者は多いんじゃないでしょうか。

【森下直哉】「自分を大事にしなさい」とか、「自分を持ちなさい」「芯がある大人になれ」「しっかりしろ」などと言われた人は多いと思います。僕は真逆のことをやってますから(笑)。バカでよくて自分を捨てなさいって(笑)。

――確かに「自分を持つ」ということが世間では大事とされているかもしれません。

【森下直哉】だいたい8：2の法則です。「自分を持っていきましょう」というのが8割だとしたら、その逆をやればいい。結局、成功するのは大多数の逆をやる人ですから。成功している人は自分を捨てて、人のために動いていますよ。

――直哉さんの感性に触れて、自分も逆張りをやろう！という人たちも増えそうですね。

【森下直哉】それで成功してくれたらうれしいです。今まで僕より稼げていなかった経営者の人が、自分より年商が上回っても、「超えられて嫌やな」っていう気は全然しないので。そのへんのプライドはないです。ただ、一生「俺のおかげやな」って言ってやろうとは思います(笑)。

取材・文＝小田島瑠美子