初夏の箱根を新型ルーテシア ルノー・スポールで走る

横浜ウォーカー

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今年春にマイナーチェンジしたルノーのコンパクトカー「ルーテシア」。そこに待望のスポーツモデル「ルーテシア ルノー・スポール」が上陸し、7月6日(木)から発売を開始した。そこでさっそく、このモデルで初夏のワインディングロードを走ってみることにした。

ルノー「ルーテシア ルノー・スポール」シャシーカップ(309万円~)


神奈川県西部、芦ノ湖付近には素敵なワインディングロードがいくつかある。今回は小田原から箱根へ行くバイパスの一つ、箱根ターンパイクに行ってみた。サクラのトンネルや絶景で知られるこの道、今の時期は路肩にアジサイが咲き誇り、13.8kmほど走り山頂に着くと、眼下には芦ノ湖の水面と緑が見事なコントラストが広がり、眼前には雄大で美しい富士山を拝むことができる。そしてカーブ、勾配とも比較的ゆるやかで快適なドライブが楽しめることでも知られ、景観のよさと相まって、休日になると自動車愛好家による「オフ会」などが行われている。

1.6リットル直列4気筒ターボエンジンを搭載


さて、ルーテシアであるが、いわゆるBセグメントの中でもやや大柄の部類に入るモデル。フランスではBセグメント売上No.1であるほか、我が国においても、ルノーの販売台数の半分近くを占めるという人気車種である。同社でも「初めてのルノーを触れるに適した1台」と位置づけている日本車ともドイツ車とも異なる、グラマラスなラインを描く特徴的なボディに、118psを発生する直列4気筒1.2リットルターボエンジンと6速デュアルクラッチトランスミッションを搭載。フランス車らしい、しなやかな足回りと相まってスムースな走りを実現したモデルだ。

助手席側からみた車内。グレーをベースに赤の差し色の入った空間となっている


標準のルーテシアは、普段の動力性能に不足はないものの、ワインディングやサーキットを走るには、ちょっと力不足。そこで登場したのが、F1を始めとするフィールドに参戦する同社モータースポーツ部門の名を冠した「ルノー・スポール」モデルだ。

ダッシュボード上には、ルノー・スポールのアイコンが付与されている


モータースポーツという極限環境で培った技術を投入したスポーツモデルは、トロフィーを頂点にシャシーカップ、GTというグレード分けがなされている。今回登場した「ルーテシア ルノー・スポール」もその例に漏れず、トロフィーとシャシーカップの2車種を容易。いずれも排気量を1.6リットルへと拡大した直列4気筒エンジンを搭載し、トロフィーでは220馬力、シャシーカップでは200馬力を発生する。

夏の箱根路をルノー・スポールで走ってみてはいかが


足回りもスポーティな味付けがなされたものへと変更。ルノー・スポールがラリーなどの技術で培ったメインダンパーの中に小さなダンパーを備えた「ハイドロリックコンプレッションダンパー」と、アンダーステアの発生を抑制する「RSエレクトロニックディファレンシャル」と呼ぶ、旋回中にブレーキを軽くつまむ機構により、高いコーナーリング速度を実現している。トロフィーとシャシーカップではバネレートや車高が異なり、シャシーは柔らかめにしワインディングが楽しめる仕様に、トロフィーはサーキットで攻める味付けとしている。

リアシートにも赤いステッチが入る


外観で目を惹くのが、フロントバンパーに設けられたチェッカーフラッグのようなLEDランプ「RS Vision」。フォグとコーナーリングランプ、ポジションヘッドランプをルノー・スポールのアイコン型に一体化したもので、機能とスポーティーさを見事に融合している。

奥行の深いラゲッジスペース


もちろん内装もスポーツテイストあふれるものへ変更。やや明るめの黒を基調に赤い刺繍や差し色が雰囲気を盛り上げる。シートもルーテシアとは異なる形状で、ヘッドレストにはR.S.の刺しゅうがなされている。

両脇にマフラー、中央にディフューザーを新設


いわば「ホットハッチ」にカテゴライズされ、フォルクスワーゲンのポロGTIやプジョー208GTIがライバルとなる「ルーテシア ルノー・スポール」。価格は最上位のトロフィーが329万円、シャシーカップが309万円、シャシーカップから一部装備を取り除いた受注生産のシャシースポールが284万円だ。

無駄のない加速が得られるローンチコントロール機能を搭載


運転席側から。ステアリングホイールには赤の差し色が入る


今回は、シャシーカップ仕様を借り、箱根ターンパイクでその動力性能を堪能した。ルーテシアはマイナーチェンジによって精悍な印象へと変わったが、バンパー内のRS Visionによって、さらに力強さを増した印象。そしてリアブレーキがドラム形状であったのにルーテシアに対し、ホイールの隙間から赤いキャリパーが覗き見えるディスクブレーキが、さらにスポーティーなムードを漂わせる。

ルノー・スポールでワインディングロードを駆け抜けよう!


ドライバーズシートに座ると、メーター等の配置はルーテシアと同一。しかしハンドルに取り付けられた大型のパドルシフトが目を惹く。触れてみると、スイッチフィールは程よい柔らかさ。ドイツ車や日本車だとクリック感をかなり明確にするところ、しっとりとしながら確実感を持たせるところに、お国柄を感じさせる。ファブリックシートのクッションは厚めで、サイドの張り出しと相まって体をしっかりとサポートしそうだ。

スタンダードなルーテシアに比べマッシブな印象を与える


運転席、助手席は広いものの、リアは窮屈。ここはボディサイズからして仕方のないところか。ラゲッジは十分な容量でゴルフバッグも入りそうだ。

ヘッドレストにはR.S.の刺繍が入る


イグニッションボタンを押すと、ルーテシアとは違い車内に排気音が響きわたる。近所迷惑になるのでは? と、一旦車から降りて確認したが、外気では静かで驚いた。なにやら排気音が聴こえるようなチューニングしているようだ。ちなみにオプションでチタンマフラーも用意されているので、より甲高い音が好みの方は、こちらをセレクトするといい。

シフトレバーの下にドライブモード切替スイッチを用意


走り始めた瞬間から、ルーテシアとは大きく異なるスポーティーテイストにニンマリする。足回りもルーテシアとは大きく異なり、ひと言で言えば「硬め」。といっても、しなやかさが保たれ不快感は皆無。ギャップを一発で吸収してリバウンドは少ない。微振動をしっかり吸収するので、スポーツ系だから乗り心地は犠牲に、ということはない。

フォグランプやコーナーリングランプをルノー・スポールのアイコン状に配置


旋回すると、ステアリング操作に対してフロントノーズがグイグイと曲がっていく。フロントが路面を食いついている感覚がしっかりと伝わってくる。重く手応え十分のステアリングフィールは女性には辛いかもしれないが、スポーツドライビングの気分を高めてくれるのに十分だ。

カードキー型のエンジンキー


なによりボアアップしたエンジンがゴキゲン! かなり下の回転からトルクがあるため、軽やかに加速していく。ルーテシアに比べて80馬力ほどアップした恩恵は、ワインディングはもちろん、街乗りでも扱いやすく、手に余るということはない。特にワインディングでは、低く轟くエキゾーストノートと相まって、思わずアクセルペダルに力が入る。それにアクセルやシフトのレスポンスが俊敏で、ノーマルのルーテシアとは比較にならないほど。変速が瞬時に決まり、レブリミット近くになるとシフトマークが点滅。しばらくすると自動的に一段上に変速する。

お楽しみのR.S.ドライブ


そのシフトレバー付近には、アクセルレスポンス、シフトスピードやタイミング、そしてハンドルの重さが変化する「R.S.ドライブ」と書かれたモード切り替えボタンがある。単推しでスポーツモード、シフトレバーを左に倒してマニュアルモードにしてからの長押しすると、トラクションコントロールなどの電子制御をすべてカットするレースモードへと切り替わる。

レースモードになると、トラクションコントロールなどの電子制御がすべてオフになる


ワインディングの上り下りで、まずはスポーツモードを試した。アクセルやシフトスピードは一層俊敏に。ハンドルも一層重くなる。シフトアップはかなり上まで引っ張る傾向。コーナーの侵入でブレーキングする際、エンジンの回転数が高いと保護のためダウンシフトができない車もあるが、ルーテシア ルノー・スポールでは変速が可能。エンジンブレーキをかけながらのブレーキングが楽しめる。さらにブレーキを踏みながらダウンシフト側のレバーを長く押すと、適切な回転数をコントロールしながらの多段シフトを実施。エンジンレスポンスがよいので、パドリングを積極的に楽しみたくなる。

中央にカーナビゲーションを配置


レースモードに切り替えると、ハンドルはより重く、そしてシフトスピード、アクセルレスポンス共にさらに俊敏に変化。より積極的に車を操りたくなる。ダウンシフト時に回転数が合わなければガクッとするし、コーナーでアンダーが顔を覗かせることも。それでもマニュアル車ほどではないが、車を自分で操っているという感覚が楽しいのだ。

ハンドルに大型のパドルシフトを新設


さらにお楽しみの機能として、このグレードの車には珍しいローンチコントロール機能を搭載。停止時からの急発進時に、自動車が最適な回転数やトラクションをコントロールすることで、誰でも0-100km/hで約7秒という加速が体験できる。日常生活で使うことはまずない機能であり、使用時は周囲への配慮が必要であるが、アクセルとブレーキを同時に踏み込み、独特のアイドリング音を聞きながら、ブレーキペダルをリリースした瞬間のタイヤからキュキュという音を立てて猛スピードで車速が上がってゆく感覚は、相当に楽しい。

中央部をややえぐった形のサイドビュー


今回はシャシーカップ仕様であったが、トロフィーになると、より過激な方向に行くとのこと。試乗は叶わなかったので、その差をレポートすることはできないが、シャシーカップより硬い乗り心地になることは想像に難しくない。この絶妙なバランスが、普段使いとスポーツのよい落とし所であると感じた。

箱根ターンパイクの頂上、大観山からは富士山の姿が眺められる。ちなみに大観山は、富士山を好んで描いた画家である横山大観にちなんで名付けられた


パパはスポーツカーが欲しい。けれどママはスポーツカーではなく、使い勝手のよい普通の車がいい。となると選ばれるのは、マニュアル車ではなく、使い勝手のよいオートマチック・トランスミッションを搭載した、普通の車のスポーツモデルだ。ルノーのルーテシア ルノー・スポールのシャシーカップ仕様は、誰もがスポーツカーのテイストを感じさせながらも、それを無理強いさせることなく、それでいて走りは期待に十分応えてくれる1台だ。この塩梅のよさが、ルノー・スポール シャシーカップ仕様の美質であり魅力だと感じた。ほかとは違う楽しい車を世に送るルノーから誕生した「走る楽しさを詰め込んだ1台」に触れてみてはいかがだろう。【横浜ウォーカー編集部】

横浜ウォーカー編集部

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