噛む!刺す!毒!海水浴などでも注意したい、身近な夏の海に潜んでいる危険な生物9選

東京ウォーカー(全国版)

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海水浴やマリンレジャー、釣りなど、夏の海には楽しいことがいっぱい!たくさんの人でにぎわう海は、同時にたくさんの生き物の住処でもある。なかには、毒を持っていたり噛み付いたりと、人間にとって危険な生き物も!今回はそんな、“夏の海で気を付けるべき生き物”を紹介する。生き物たちは、「鳥羽水族館」(三重県鳥羽市)の協力を得て撮影した。これから海へ出かけようと思っている人にはぜひとも知っておいてもらいたい生き物を、順番に見ていこう。

※海にはほかにも危険な生き物が生息しています。また、刺されたり噛まれたりした場合は、速やかに医療機関に連絡することを推奨します。

暖かい海にユラユラ漂うヤバイやつ「アカクラゲ」

夏の海で気を付けたい生き物の代表格、クラゲ。なかでも「アカクラゲ」は、ほぼ日本全国の沿岸に生息しており、春から夏にかけて多く見られる。比較的身近なクラゲだが、毒素は強力。水深3メートル程度の浅瀬に漂っていることが多く、毎年海水浴客やサーファーが被害に遭っている。

海水浴で注意したい生き物といえばクラゲ。「アカクラゲ」は日本全国に生息する、身近なクラゲの1つPhoto by Kanji Furukawa / (C)KADOKAWA

アカクラゲは傘の部分に赤茶色の縞模様が16本入っている。その下に約50本の「触手」が伸びており、なかには長さ2メートル以上の触手を持つ個体もいるようだ。毒があるのは、この触手の部分。触手についている「刺胞(しほう)」という毒針に触れると、火傷を負ったかのような強い痛みが走り、ミミズ腫れや水膨れを引き起こす。幸い一度で死に至るほどの強い毒ではないものの、人によってはアレルギーのアナフィラキシーショックで呼吸困難などに陥る危険性もあるため、十分に注意が必要だ。なお、厄介なことに、クラゲが持っている毒は、クラゲが死んだあとも消えない。海岸に打ち上げられているクラゲを見つけても、絶対に触らないように!

死骸の「アカクラゲ」の刺胞を鼻から吸い込むとクシャミが止まらなくなるそうで、別名ハクションクラゲとも呼ばれるPhoto by Kanji Furukawa / (C)KADOKAWA

アカクラゲに刺されてしまったら、まずは海から上がることが大切。これは刺されたショックと痛みで溺れる危険性があるからだ。砂浜などに戻ったら、十分な量の“海水”で洗い流す。水道水など真水を使うとかえって症状が悪化するため、“海水で洗い流すこと”がポイントだ。その後は病院の受診をおすすめする。ちなみに、クラゲに刺された際は酢が有効だという説もあるが、クラゲの種類によって対処法は異なるので、刺されたらとにかく一度病院で診てもらおう。

優雅に泳ぐ美しいヒレに毒あり「ミノカサゴ」

カサゴといえばおいしい高級魚としても有名。その仲間である「ミノカサゴ」は、北海道より南のインド洋・太平洋地域に分布している。大きな胸ビレが特徴で、英語圏での呼び方は「ライオンフィッシュ」。浅い岩礁域に生息しており、釣りをしていると出合うことも少なくない。

「ミノカサゴ」の体長は20〜30センチほど。背ビレ、腹ビレ、臀(しり)ビレの棘に毒があるPhoto by Kanji Furukawa / (C)KADOKAWA

ミノカサゴの名前の由来は、大きなヒレが「蓑(みの)」や「笠(かさ)」のように見えるから。派手な縞模様は敵に対して警告をする役目と、保護色の役目を持っている。長いヒレをヒラヒラとなびかせながら優雅に泳ぐ姿は、鳥羽水族館でも人気だ。しかし、この華やかなヒレにこそ毒を有する棘がある。棘が刺さると激痛が走り、酷いときには吐き気や呼吸困難を起こすこともある。

ミノカサゴのソックリさん「ハナミノカサゴ」。生息地は駿河湾より南Photo by Kanji Furukawa / (C)KADOKAWA

鳥羽水族館では、ミノカサゴとソックリな「ハナミノカサゴ」も飼育している。見分け方は、背ビレ、臀(しり)ビレ、尾ビレに斑点があればハナミノカサゴ。ミノカサゴ同様に、ヒレにある棘に毒を持っている。

もし刺されてしまったときには、火傷しない程度の熱い湯(45度ほど)に患部を浸すといい。ミノカサゴの毒はタンパク質なので、湯に溶け出してくれるのだ。ただしあくまでも応急手当なので、症状が軽くても念のため医師に診てもらった方が安心だ。

おいしい魚には毒がある?「オコゼ」の仲間

ポカンと開けた口に、ゴツゴツとした岩のような体を持つ「オコゼ」。名前の由来は「ひどい」という意味の古語からきているそうで、なんともかわいそうな名前だ。そんな正直ちょっとブサイクな見た目だが、食用のオコゼはフグに匹敵するほどの味ともいわれており、刺身や唐揚げ、煮付けなどで食べられている。

「ダルマオコゼ」は普段海底でじっとしていて、ほとんど動かないPhoto by Kanji Furukawa / (C)KADOKAWA

オコゼは背ビレや腹ビレ、尾ビレの毒針に、非常に強い毒を持っている。刺された直後には痛みが走り、腫れたり痺れたりする。重症になると吐き気や下痢、麻痺などの症状が現れる場合も。万が一刺されたら、まずは毒針を取り除き、その後45度くらいのお湯に30〜90分ほど患部を浸すといいとされている。非常に強い毒性を持っているので、早めに病院で診てもらおう。

ほかの魚に狙われることはほとんどないというオコゼが、なぜ毒を持っているのかはよくわからないのだとかPhoto by Kanji Furukawa / (C)KADOKAWA

一方、「オコゼ」の仲間でも特に注意が必要なのが「オニダルマオコゼ」だ。猛毒を持っているオニダルマオコゼに刺された場合、死亡例も少なくない。色や形が岩にそっくりなうえ、ほぼ動かないので、岩と間違えてうっかり踏んでしまうことがあるそうだ。

海釣りでの厄介者「アイゴ」

青森県から九州南側の日本海・東シナ海・太平洋沿岸などに生息する「アイゴ」。定置網や釣りで捕獲されることが多く、釣り好きの間では“厄介者”として知られている魚だ。

一般的な「アイゴ」は茶や黒など地味な色だが、南国のアイゴは黄色や青色の個体もいるPhoto by Kanji Furukawa / (C)KADOKAWA

アイゴは背ビレや腹ビレにトゲがあり、ここに毒を持っている。刺されると痺れが数時間続き、その後も痛みが残ることがある。釣れた際には、ヒレをすべてハサミなどで切り落とすと安心。死後もトゲには毒が残っているので、注意しながら調理しよう。

尻尾に毒あり!海水浴でも要注意「アカエイ」

東アジアの沿岸部に広く分布する「アカエイ」。日本では沖縄を除くほぼ全域の浅瀬で見られる大型魚だ。砂泥底の海域に生息しており、特に幼魚は海水浴場や潮干狩り場といった、ごく浅い場所にも出現する。大きいものだと体長1メートル以上、体重100キロ以上になる個体も。国内で食べられているエイの中では最も一般的で、昔は「真鱏(まえい)」とも呼ばれていた。

食用とする地域もある「アカエイ」。クセが少なく、良質な白身が特徴だPhoto by Kanji Furukawa / (C)KADOKAWA

毒があるのは、長く伸びた尻尾の付け根の部分。付け根から中ほどにかけて、太く長い毒針を持っている。毒針の表面には「棘」がいくつもあり、刺した場所をノコギリのように切り裂く役割もあるようだ。毒を持つエイの中でも、アカエイの毒は強め。刺されると激しい痛みが数時間は続く。また、人によっては発熱や吐き気、痙攣などの症状が現れることもある。過去には、長い針が心臓に刺さり死亡したケースもあるそうだ。

アカエイの裏側は顔のようで、意外とかわいいかもPhoto by Kanji Furukawa / (C)KADOKAWA

アカエイによる被害は、アカエイを上から踏みつけて起こることがほとんど。刺されないためには、まずは目視で確認することが大切だ。歩くときは水から足を上げず、すり足で歩くようにすれば、大抵はアカエイの方が逃げていくだろう。万が一刺された場合には、すぐに救急車を呼ぶこと。救急車が来るまでに、可能であれば毒針を取り除き、患部を洗い流したら毒を絞りだしておくとよい。

毒はなくても超危険!海のギャング「ウツボ」

「海のギャング」とも呼ばれる「ウツボ」。狂暴なイメージだが、見た目とは裏腹に意外と臆病なのだとか。自分より大きな生き物が近づいてくると、大きな口を開けて威嚇する。しかし、こちらからさらに近づいたり攻撃したりしない限り、襲ってくることはほぼないそうだ。よくよく見てみると、意外とつぶらな瞳をしている。

鳥羽水族館では、写真の「ウツボ」をはじめ約8種類のウツボの仲間を見ることができるPhoto by Kanji Furukawa / (C)KADOKAWA

一部を除いて、ほとんどのウツボに毒はない。しかしながら、毎年ウツボに噛まれてケガをする人が少なからずいるので注意したい。ウツボはアゴを2つ持っており、獲物に嚙み付くと奥から第2のアゴが出てきて、体の中に引きずり込んで丸飲みしてしまう。この立派な歯と強力なアゴに噛み付かれたら、軽傷では済まないだろう。ウツボに出合ってしまったら、近づかないことが肝心だ。

ツノとトラ柄が特徴の「トラウツボ」。威嚇する姿がとても強そうPhoto by Kanji Furukawa / (C)KADOKAWA

ほかにもいる!毒を持つ小さな海の生き物たち

夏の海で気を付けたい、毒を持つ生き物はまだまだいる。ここからはサイズが小さな生き物を見ていこう。ゾワッとする見た目の生き物も紹介するので、苦手な人は閲覧注意だ。

ヒメハナギンチャク

鳥羽水族館で飼育されている「ヒメハナギンチャク」Photo by Kanji Furukawa / (C)KADOKAWA

ピンク色の長い髪のような触手をユラユラさせる「ヒメハナギンチャク」。砂地に「棲管(せいかん)」という管を作って生活しており、外からの刺激を受けるとスグに棲管に隠れてしまう臆病者でもある。

国内では本州の中部以南にかけて生息し、さほど強くはないが触手には毒があるので注意が必要。綺麗な見た目ではあるが、触らない方が身のためだ。

イイジマフクロウニ

鳥羽水族館内「へんな生きもの研究所」にいる「イイジマフクロウニ」Photo by Kanji Furukawa / (C)KADOKAWA

水深20〜50メートルの岩礁域・サンゴ礁域に生息する「イイジマフクロウニ」。国内では相模湾から南、九州地方あたりまでに分布している。「フクロウニ」とは、原始的な特徴を持つウニの仲間だ。一般的にイメージするウニとは違って、殻が柔らかく変形する。

イイジマフクロウニは体表面を覆う棘に毒を持っており、刺されると強い痛みを感じるとともに、赤く腫れあがる。人によっては麻痺や痺れを感じることもあるそうだ。とはいえ、水深20メートル以上の深い場所にしか生息していないため、海水浴などで出合うことはほとんどない。マリンレジャーとしてダイビングなどを楽しむ際には、注意したい生き物だ。

ウミケムシ

夏の釣り場で遭遇することが多い「ウミケムシ」。もし釣り上げても絶対に触らないでPhoto by Kanji Furukawa / (C)KADOKAWA

全身毛むくじゃらで、ウネウネと泳ぎ回る「ウミケムシ」。体長は10センチほどで、大きいものは20センチを超える。砂地を好んで生息しており、太平洋やインド洋に広く分布。日中は砂の中に潜っていることが多く、夜になると水面近くを素早く泳ぐ。

体の側面に無数の毒毛が生えており、陸で見られる毛虫と同様、むやみに触ると簡単に毒毛が刺さり、炎症を起こす。暑い時期に釣れることが多く、知らずに触って被害にあう例も少なくない。刺されてしまった場合は真水で洗い流し、それでも毒毛が残っているようならガムテープなどを使って除去を。その後はアルコール消毒や市販薬を塗布しておくといいだろう。不安な場合は必ず医療機関に相談を。

危険な生き物に注意しながら、夏の海を楽しもう!

今回は夏の海で気を付けるべき、代表的な生き物をピックアップした。ここで紹介した生き物は、すべて鳥羽水族館で見ることができる。鳥羽水族館では、ほかにもラッコやジュゴン、カワウソなど約1200種類もの生き物を飼育しており、飼育種類数は日本一だ!1日中いても飽きないほど、たくさんの生き物たちが待っている。危険な生物たちも実物を見ておくと、より一層気を付けることができるかも。海の生き物について理解を深めて、安全に夏の海を楽しもう!


取材・文=民田瑞歩/撮影=古川寛二

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