「結婚」主演ディーン・フジオカの「生命力に惚れた」西谷真一監督インタビュー

関西ウォーカー

X(旧Twitter)で
シェア
Facebookで
シェア

NHK連続テレビ小説「あさが来た」の演出を担当していた西谷真一監督。同作で五代友厚を演じたディーン・フジオカと3回目のタッグを組んだ映画「結婚」(6月24日公開)は、「結婚詐欺」をテーマに男女の孤独と欲望を描いた直木賞作家・井上荒野の小説を映画化した作品。結婚詐欺を生業にする主人公・古海健児をディーン・フジオカが演じた。本作でメガホンをとった西谷監督が、ディーン・フジオカと再タッグを組んだ理由から、本作に込められたメッセージまで語ってくれた。

ディーン・フジオカをいかに格好良く撮るかを意識したと、本作について話す西谷監督。自身もディーン・フジオカの魅力に惹かれた一人だと明かす西谷監督は、彼の魅力について、自身のルーツでもあるルキノ・ヴィスコンティ監督の「ベニスに死す」になぞらえこう話す。

「学生時代に『ベニスに死す』を観たときは、老人の男性が美少年に恋する気持ちがわからなかったんです。でも、自分が歳を重ねていくうちに、だんだんその気持ちがわかるようになってきて。ディーンさんには自分が失くしてしまった生命力を感じるんです。そこに惚れたんだと思います」

本作でディーン・フジオカが演じる結婚詐欺師・古海は、出会った女性の心を掴んで離さない。マスカットを食べる口元、ピアノを弾く指、ダンスでのしなやかな手足、“結婚しよう”と口説く声。思わずうっとりする古海のしぐさにフォーカスしたシーンを多用することで、観客は騙されてしまう女性の気持ちが理解できるように映し出している。

「結婚詐欺師なので、古海と会うときに女性は気持ちよくならないといけない。だからこそ、観客も古海に惚れてしまうような映像を提示しました。古海が魅力的な男性として見えるようにディーンさんも意識して演技してくれました」

本作で再びタッグを組んだ西谷監督とディーン・フジオカ。これまでのドラマから初めて映画で仕事を共にすることに。全幅の信頼を寄せるディーンと、今回なぜ映画というメディアで仕事をしたかったのかを西谷監督に尋ねてみた。

「プロデューサー主導のドラマ業界とは違って、映画は作家性が出しやすいメディアだと私は思っています。ディーンさんと次に仕事をするなら、映画でご一緒したいという思いが強かった。これまでのドラマとは違う、表現を広げる意味でも映画というメディアが最適だと思いました」

2週間という短期間で撮影された本作。西谷監督は、この短期間での撮影が功を奏したと話す。それは、西谷監督が愛してやまない1972年公開の日本映画「約束」を観て感じたことが大きく影響している。

「『約束』も2週間で撮影された映画なんです。こんなに素晴らしい作品が2週間で撮れるなら、短期間でも良いものは作れると確信しました。予備日もなく余裕はありませんでしたが、その分、俳優陣の集中力が途切れることがなかった。俳優さんたちが役にどっぷりはまっていくのがわかるんです。作品に締まりが出て、観客側も作品全体を捉えられるような映画になりました」

本作は最後まで見ても、さまざまな解釈ができる正解のない作品。映画というメディアで、さまざまな解釈ができる作品に仕上げた意図を西谷監督に伺うと、こんなメッセージをいただいた。

「感覚的には一枚の絵を描き上げた気持ち。この作品はストーリーを追い続けるだけの映画ではないと思っていて、観る人によって感じ方が違う作品にしました。何度も観ていただいて、このシーンにはこういう作家の意図があるんだろうなと考えながら楽しんでもらえると嬉しいです」

西谷監督は、あえて観た人に作品の捉え方を委ねる作品に仕上げた。

「私が好きなウォン・カーウァイ監督の作品は、世界観から好きになって、よくわからないまま作品自体も好きになったりするんですよね。そういう映画を作ろうとしていたところもあります。ストーリーはもっと簡潔にできたけれど、あえてしなかった。ラストシーンは次回作の予告の気持ちで撮っています」

ディーン・フジオカを、何があっても生きていける人だと評価する西谷監督。撮影中は意外と寒がりでしたねとディーン・フジオカのプライベートな一面を茶目っ気に明かしてくれるなど、信頼関係が成り立っていることを感じた。西谷監督にディーン・フジオカとの再タッグの可能性を聞いたところ、1年に1回ぐらいは一緒に何かやりたいと返ってきたが、ルキノ・ヴィスコンティ監督とアラン・ドロンの関係になぞらえ、何があるかわからないですねと笑顔ではぐらかされた。

【関西ウォーカー編集部/ライター山根 翼】

山根翼

この記事の画像一覧(全7枚)

キーワード

カテゴリ:
タグ:
地域名:

テーマWalker

テーマ別特集をチェック

季節特集

季節を感じる人気のスポットやイベントを紹介

いちご狩り特集

いちご狩り特集

全国約500件のいちご狩りが楽しめるスポットを紹介。「予約なしOK」「今週末行ける」など検索機能も充実

ページ上部へ戻る