品切れ“回避”の舞台裏。天候まで読む工場プロフェッショナルの仕事に驚愕

東京ウォーカー(全国版)

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北海道産じゃがいも不足によるポテトチップスの品薄状態が続くなど、大企業の商品の出荷停止が話題となる昨今。一方で、それを防ぐための取り組みとしてどんなことが行われているか、語られる機会は少ない。そこで、長年市場に“水”を安定供給し続ける大手飲料メーカー・サントリーに話を聞いた。

まず、つい先日人気のあまり供給不足となり話題となった同社新商品「クラフトボス ラテ」について触れると「注文が想定の3倍に上り、生産が追い付かなくなりました」と広報担当者が話してくれた。長年飲料を提供してきた大手メーカーがこう言うほどまでに、新商品の需給予測というのは難しいのだ。

一方で、長きにわたり生産・販売を続けているロングセラーブランドの供給体制について話を聞いていくと、「多くの方にご愛飲いただいている商品を安定的にご提供することがメーカーの責務だと思っており、お客様の需要にお応えできる供給体制の維持に日々つとめております」(同広報)と、飲料メーカーとしての矜持と使命感が感じられるコメントも。そこで、実際にどんな取り組みが行われているかを知るため、製造現場の最前線である工場のプロフェッショナルにも話を聞くことにした。

【写真を見る】年間2500万ケースの生産能力を有し西日本の市場に天然水、フレーバーウォーターを供給する「サントリー天然水 奥大山ブナの森工場」


「サントリー天然水 奥大山ブナの森工場」はこの春、製造ラインの増設を行っている。3.11以降、水の安全性に多くの人の関心が集まり、毎年、「サントリー天然水」の売り上げは伸び続け、また最近の健康ブームでフレーバーウォーターの市場も拡大していることが背景にある。「ヨーグリーナ&サントリー天然水」などのフレーバーウォーターを含む年間1000万ケースの増産に対応でき、既存のラインとあわせて年間2500万ケースの生産能力を有するようになった。

「サントリー天然水 奥大山ブナの森工場」工場長の吉村孝博さんと製造ライン増設のチームリーダーであるエンジリアニング部の亀崎耕太さん


今回そのライン増設の裏話を伺ったのは工場長の吉村孝博さんと、製造ライン増設のチームリーダーであるエンジリアニング部の亀崎耕太さん。吉村氏は、直近では木曽川工場の製造ライン増設を行い、その他の全国に広がるサントリーの工場に関わってきた、まさに工場を知り尽くしたプロフェッショナルだ。同様に亀崎さんも2015年4月に稼動を開始した天然水南アルプス白州工場の新ライン増設をはじめ数多くのライン増設に関わり、「ライン職人」とまで呼ばれる製造ライン作りのプロである。

この2人、以前に生産技術部で上司と部下の関係で同じチームでライン増設も行っており、再び奥大山ブナの森工場の製造ラインの増設を任されたという。工場の仕事は、需給計画に基づいた製品の製造や設備のメンテナンスなど、ものづくりと設備の運転・管理を主な役割として行なっている。本社から決められる、年間の生産数量を確実に達成し、安心・安全・高品質な製品を製造することがチームとしての役割だ。

「サントリー天然水 奥大山ブナの森工場」の製造ライン


今回のライン増設は、過去の工場での経験の集大成。各工場での失敗や成功を生かして製造ラインの増設に挑んだそうだ。特にフレーバーウォーターを製造するにあたり、他の製品に香りがうつらないように新規技術を利用した洗浄など、先人たちの経験や、原理原則に基づいた検証を生かした取り組みが実施されている。また、奥大山は雪深く、1月・2月の大雪では工場から帰れないほどの豪雪に見舞われたそうだ。そうした気候の変化も視野に入れて、生産活動を行っている。まだ、増設したラインが稼働してから大きなトラブルは起きていない。天然水を始め、ウィスキー、ワインなどさまざまな飲料を作るサントリーだからこそ、多くの経験と知識の元で新たな飲み物が作られており、その様子は工場見学を通じて知ることができる。

奥大山の天然水は、他のサントリー天然水(南アルプス、阿蘇)に比べて、硬度が20パーセントと低く、ほのかな甘みが感じられる、飲みやすくて美味しい水だ。飲み比べれば、一般の人でもその違いが分かるほどだそうだ。サントリー天然水は、工場ごとにその土地の水の味を生かした製造を行っており、味わいが異なる。同じ商品でも、製造するその土地の人にも愛される水でありたいという思いが込められているのだ。サントリー天然水は赤ちゃんが初めて飲む水「ファーストウォーター」としても多くの人に長年愛されている。

工場で働くプロフェッショナルたちのおかげで安全な水が全国に供給される


「地元の飲食店、特にお酒を出されるお店でもサントリー天然水を使ってほしい」と話す、工場長の吉村さん。土地の人がこんな美味しい水を飲めることを、サントリー天然水を通じて再確認してもらいたいという。地元の人が自信を持って全国に伝える水としてサントリー天然水があるのだ。「コンビニやスーパーで天然水を買っている人を見かけた時に心の中でよかったと思う」と話す、吉村さんと亀崎さん。安心・安全に一生懸命作りましたと自信を持ってお客様へ届けていることが認められたと再確認できるそうだ。工場で働くプロフェッショナルたちのおかげで安全な水が全国に供給されている。また、その努力の結晶が詰まった天然水が手頃な価格で飲めることに改めて感謝と驚きの気持ちになる。【ウォーカープラス編集部/しおグル】

しおグル

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