コーヒーで旅する日本/九州編|目指すのは、地域のハブ的存在のロースタリー。「BLUE BEANS ROASTERY」

九州ウォーカー

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全国的に盛り上がりを見せるコーヒーシーン。飲食店という枠を超え、さまざまなライフスタイルやカルチャーと溶け合っている。なかでも九州はトップクラスのロースターやバリスタが存在し、コーヒーカルチャーの進化が顕著だ。そんな九州で注目のショップを紹介する当連載。店主や店長たちが気になる店へと数珠つなぎで回を重ねていく。

カフェとしての利用も多い

九州編の第32回は、鹿児島市にある「BLUE BEANS ROASTERY」。オーナーが歯科医師という一風変わったコーヒーショップだが、オーナーが表に出ることはほぼなく、店長を任されている坂下健介さんが、実質的にショップを運営。接客から抽出、焙煎、メニュー作りまで幅広く行い、2022年6月現在、5名いるスタッフとともに日々店を切り盛りしている。もともと興味があることはとことん突き詰めるタイプの坂下さんが、コーヒーの世界に飛び込んだのは20代後半。それからどっぷりコーヒーの沼にハマり、同店の店長になる前は朝と昼のみ間借り営業するHAY COFFEE STANDのオーナーバリスタとして活動した時期もあった。「コーヒーとより深く関わっていきたい」と、昔から変わらない想いで店長として店に立つ坂下さん。鹿児島市内の住宅地にオープンし、3年強。年々、認知を広める「BLUE BEANS ROASTERY」の魅力に迫る。

店長兼ロースターの坂下健介さん

Profile|坂下健介(さかした・けんすけ)
1984(昭和59)年、鹿児島県鹿児島市生まれ。10代から20代半ばまでバンドマンとしてアルバイトをしながら暮らし、上京して音楽活動を本格化させるチャンスを得た。ただ、そのタイミングで突発性難聴を患い、音楽活動を断念。音楽以外に自身がやりたいことを見つけるため、雑貨店や映像制作会社などで働く。

コーヒーの世界に引き込まれたのは、偶然飲んだ挽きたて、淹れたてのドリップコーヒー。それまでは加糖し、ミルクを入れてしか飲めないほどコーヒーの味が苦手だったが、それを機にコーヒーショップに日常的に通い、アメリカーノやドリップコーヒー、水出しコーヒーといったブラックコーヒーを積極的に飲むようになる。

20代後半、シアトル系コーヒーショップで働き始め、およそ4年間勤務。店舗をマネジメントするまでになったが、日常的にコーヒーを淹れ、客とコミュニケーションをとることに楽しさを感じていたこともあり、退職。2016年10月から鹿児島市名山町のダイニングバーを間借り営業し、HAY COFFEE STANDを立ち上げ、丸2年営業。その時期に知人の繋がりで「BLUE BEANS ROASTERY」のオーナーと知り合い、開業に向けて、店長を任される。2019年1月に「BLUE BEANS ROASTERY」をオープン。

今までの積み重ねから、店長に抜擢

店前に駐車場を車1台分用意

「BLUE BEANS ROASTERY」があるのは、JR鹿児島駅から少し歩いた住宅街。かつては城下町として栄えた、通称“かんまち”と呼ばれるエリアに位置し、どこかゆったりとした時間が流れている。店はインダストリアルスタイルの内装で、店奥に据えられた焙煎機から伸びるむき出しの排気ダクトなども無骨で、同店の空気感によく似合う。カフェスペースもあるが、席数はさほど多くなく、テイクアウト利用や豆売りにも注力。

豆のディスプレイ、照明など随所にこだわって作られた店内

ロースター兼店長の坂下さんは、「店は歯科医師のオーナーが1年ぐらいかけて自分で作ったものです。僕が初めてここを訪れた時には、すでに焙煎機もありましたし、コンクリート打ちっぱなしのカウンターもできていました。あとは働いてくれる人材と抽出器具などがそろえば、店がオープンできるという状態で、それで僕にお声がけいただいたという流れです」と開業について説明。もともと、シアトル系コーヒーショップで約4年働き、自身がオーナーを務めるHAY COFFEE STANDを丸2年切り盛りし、コーヒーを淹れる技術や知識、接客のノウハウは持っていた坂下さんは、うってつけの人材だったということだ。

カフェ利用を来店のきっかけに

フィルターコーヒー。ワイングラスのような形状のカップを採用し、香り豊かにコーヒーを味わえる

坂下さんがエスプレッソマシンやドリッパー、カップ、グラインダーなどコーヒーに関わるアイテムを選定し、メニュー構成を考えた「BLUE BEANS ROASTERY」。メニューは豆の産地はもちろん、ハンドドリップ、エアロプレス、浸漬式と、抽出方法を選べるフィルターコーヒー(500円〜)、カフェラテ(500円)、アメリカーノ(550円)など定番のドリンクに加え、大人のカフェモカ(550円)、エスプレッソトニック(550円)などアレンジ系も用意。さらに、シーズナルドリンクも2、3種展開するなど、コーヒー系のドリンクだけでもバリエーション豊かだ。スイーツも自家で手作りし、ベイクドレアチーズケーキ(550円)、パウンドケーキ(380円〜)など、常時10種程度がそろう。

季節替わりの焼き菓子。持ち帰りもできる

坂下さんは「ロースタリーではありますが、まずご来店いただくきっかけの一つとして、カフェメニューを少しずつ増やしてきました。スイーツも最初は洋菓子店にお願いしていたのですが、受け取りに行く手間やロスなどの観点から、自分たちで作るようになりました」と話す。そんなスタイルが奏功し、今では老若男女に親しまれるコーヒーショップとなっている。

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