コーヒーで旅する日本/九州編|若い2人の夢の第一歩。楽しみながらコーヒーと向き合い、未来へと歩む「Layers coffee」

九州ウォーカー

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全国的に盛り上がりを見せるコーヒーシーン。飲食店という枠を超え、さまざまなライフスタイルやカルチャーと溶け合っている。なかでも九州はトップクラスのロースターやバリスタが存在し、コーヒーカルチャーの進化が顕著だ。そんな九州で注目のショップを紹介する当連載。店主や店長たちが気になる店へと数珠つなぎで回を重ねていく。

使用する豆はすべてスペシャルティコーヒー

九州編の第28回は、熊本県・熊本市にある「Layers coffee」。長崎県大村市出身で、小中高と同級生だった山浦公大郎さん、東島優太さんが共同オーナーを務め、2021年5月にオープンした。Life plus homeという住宅メーカーが手掛ける、ライフスタイル提案型複合施設、CLAMPY内にあり、観葉植物や生花が彩る、ナチュラルな雰囲気のコーヒーショップだ。大学卒業を機に一度は違う道を歩んだ山浦さんと東島さんが、熊本市に「Layers coffee」を開いた理由、弱冠28歳と若い2人が目指すこれからのことを聞いた。

Profile|東島優太(左)、山浦公大郎(右)
東島優太さん/1995(平成7)年、長崎県大村市生まれ。創業100年近い、老舗和菓子店を生家に持つ。長崎県内の大学では環境やデザインについて専攻。大学卒業後、東京のハウスメーカーに就職し、約2年間勤めた後、退職。2020年6月、山浦さんとコーヒーショップを開業するために、オンライン上で「Layers」を立ち上げる。
山浦公大郎さん/1994(平成6)年、長崎県大村市生まれ。大学在学中にメルボルンへ留学し、オーストラリアのカフェカルチャーに感銘を受ける。帰国後、スペシャルティコーヒーの味わいを通し、コーヒーの世界で生きていきたいと考え始める。熊本市内のコーヒーショップで約2年間働き、2021年5月、東島さんとともに「Layers coffee」をオープン。

2人の個性、スキルがあってこその開業

大学時代に2人で企画したイベントから、コーヒーショップ開業へ

東島さんは長崎市内の大学、山浦さんは熊本市内の大学と、高校卒業後は別々の道を歩み始めた。一方で暮らす場所が違っても、親交を深め続けた2人。大学時代に地元・大村市の喫茶店を間借りし、コーヒーとカレーのイベントを何度か企画。そのイベントに多くの人が来てくれたことが素直にうれしく、さらには接客の楽しさを肌で感じ、「将来、一緒に店をやれたら」と何気なく話したことが「Layers coffee」の原点だ。ただ、もちろんその夢はすぐに叶ったわけではなく、東島さんは大学卒業後、上京し、ハウスメーカーに就職。山浦さんも長崎市内の広告代理店に入社したそう。

コーヒーの抽出、焙煎を主に担当する山浦さん

最初にコーヒーに強い興味を抱いたのは山浦さん。「大学時代にオーストラリアのメルボルンに留学して、現地のカフェカルチャーに触れたのがきっかけになりました。カフェに集う人たち、空間のかっこよさに純粋に惹かれ、帰国後、熊本市内で果実感のあるスペシャルティコーヒーを飲んで、ますますコーヒーの魅力に取りつかれましたね」。一度は就職した山浦さんだったが、コーヒーを仕事に生きていきたいという夢を諦めきれず退職し、熊本市内のコーヒーショップで働き始める。

東島さんの役割は店舗の運営がメインだが、抽出、接客も行う

東島さんもまた、東京で働きながら、山浦さんと一緒に店をやるという目標を持ち続けた。一念発起して退職し、メルボルンへの留学を計画。しかしコロナ禍だったため、渡航が叶わず、断念せざる得なかった。ただ、東島さんは前職で培ったマーケティングのスキルを活かし、オンライン上で「Layers」の屋号のもと、スペシャルティコーヒーに特化したプラットフォーム、Bean to youを立ち上げるなど、実店舗である「Layers coffee」開業に向けて、動き始める。熊本市内のコーヒーショップで働きながら、コーヒーの知識、技術を磨く日々を送る山浦さん、そしてクラウドファンディングなどを活用し、「Layers」の認知を少しずつ広めた東島さん。まさに2人はそれぞれのスキルを活かし、「Layers coffee」をオープンさせたというわけだ。

コーヒーは果実であることを味わいで表現

豆売りは150グラム1300円〜。1種だけ、生産処理などに個性がある豆をプレミアムラインとして販売

「Layers coffee」はカフェとして利用できるほか、コーヒー豆の販売にも力を入れている。焙煎を行うのは山浦さん。焙煎機は熊本市にスペシャルティコーヒーを根付かせた一店、AND COFFEE ROASTERSのPROBAT半熱風式5キロを借りるシェアロースタースタイルだ。

豆のラインナップはシングルオリジン5種を常時ラインナップし、浅煎りをメインに中煎りを1種用意するのが基本。産地はペルー、ブルンジ、エチオピア、コスタリカなど、さまざまだが、デイリーで飲める味わいを大切にし、ウォッシュド(※1)やナチュラル(※2)といった伝統的な生産処理の生豆を仕入れることが多いそう。

山浦さんは「前職でも焙煎に携わりましたが、まだまだ勉強中。ただ、焙煎というのは味わいを新たに加えることはできず、引き算でしかないと考えています。ですので、どれだけ生豆が本来持っている味わいを消さずに焼き上げることができるかに重きを置いています。コーヒーは果実であることを、飲んだ方に感じていただけたらうれしいです」と話す。

ドリップコーヒー(450円)。豆はセレクトできる

山浦さん、東島さんともにコーヒーについて「正解がない飲み物。淹れ方、焙煎の仕方でテイストは変わるのはもちろん、味わいの感じ方も人それぞれだと思っています」と考えを述べる。「そこが難しく、だからこそおもしろい」と続け、まだまだ自分たちなりのコーヒーを突き詰めていっている最中だ。

カフェラテ アイス(500円)。浅煎りの豆らしい華やかな味わい

オリジナリティを感じるのが一般的にやや深めに焙煎した豆を使うエスプレッソも、同店では浅煎りを主に使っている点。牛乳で割るラテでも華やかな酸や豆由来のフレーバーをしっかり感じられ、飲んだ人たちから「今まで飲んだことがない新鮮な味わい」と好評だそうだ。

カヌレ(1個300円)はプレーン、チョコレート、アーモンドの3種を用意。テイクアウトも可

コーヒーに合わせるフードはスイーツがメインで、なかでも人気が高いのがカヌレ。東島さんの実家は大村市で100年近く続く和菓子店で、カヌレはそこで特別に作ってもらっているそう。和菓子の老舗が手掛けるカヌレもぜひチェックしてほしい。

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